甘い香り
「調子はどうだ?」

「相変わらずだよ。」

「そうか…。涼香はまだ?」

「学校だよ。進路がまだらしくて
この前担任教師が電話してきた。」

「まったく、しょうがないな…あの子は。」

貴之叔父さんはそう言って笑った。

「…叔父さん。」

「ん?」

「聞きたいことがあるんだ。」

「何だい?」

「…僕、いつまで生きれそう?」

叔父さんは一瞬目を見開いて、
それからため息をついた。

「…知っていたのか。」

「ごめん、この前話してたの聞いた。」

「しょうがないな。」

「で、どれくらいなの?」

「…そうだな、先生の話では
長くて2ヶ月だそうだ。」

僕は不思議とショックを受けなかった。

「…そっか。」

「強いな、涼太は。」

「…強くなんかないよ。
ただ、何となく覚悟してたから。」

「そうか…。
ごめん、すぐに伝えてやれなくて。」

「いいよ。結果的に知っちゃったし。」

「それもそうか。」

叔父さんは少し笑った。
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