白は花嫁の色

姉ちゃんの為にも、俺は明るく生きるべきなんだ。

そう。それが正しい。
だってじゃないと姉ちゃんが可哀相だから。


ならば何をしたらいいんだろうか。


「……」

――結局、振り出しに戻る。

何もしたいことがない。姉ちゃんナシの自分が分からない。


宿題だって…もうずっと期日になんか出していない。たまったプリントの山に溜め息をつく。

紙切れの量が無力さの結果だ。

―――と、いつか廊下で立ち話に付き合わされた時に、

「いっちゃん手伝ってあげる」と言っていた名前も知らない派手な女が、本当に放課後プリントを問いていった。

そんな女を眺めながら俺は再び溜め息をついた。


「いっちゃんメール シカトしたっしょ、傷ついたんだけどー」

傷ついたと軽々言えるなんて羨ましい。なぜなら俺だって結城に言ってやりたいのだ……言えないけれど。


「……あー。俺メール好きじゃないから」

こいつが以前カラオケのメールしてきた奴なようだった。無駄なメモリーを増やしてどうするのだろうか。

「あははアナログかー」

キャピキャピ笑う女にもう嫌悪すら沸かなくなった、何も思わなくなった。

心がおかしくなったらしい。それさえどうだって良かった。



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