私を愛して
 「失礼いたしました…
私、シルトと言います。おなかがすいていらっしゃるなら、何かお持ちいたしましょうか。コールドビーフでよろしいですか?」

シルトは頭を下げて、塵取を拾い、扉のほうへ歩いていく。

 「待ってよ!それなら私、ぽっ…ぽてとちっぷす?というものを食べたいわ!」

 「ぽっ…?」

そうよ!


王国ではなかったけど

路上でぽてとちっぷすを売るのが流行ってるらしいじゃありませんの!

それに、こーらと言う、偽物のワイン!
おいしいってかなりの評判だし、何よりすごく安いらしいし。

 「それとこーらでしょう?!」

 「クスッ…」


シルトは口を手で隠して涙が出るくらい笑っていた。

何よ…
あってるんじゃないの?

シルトの笑いがおさまるまで、かなり時間がかかった。
やっと終わったと思ったら、思い出し笑いでまた笑う。

 「それを言うならポテトチップスとコーラです!発音に気をつけてください。…ポテトチップスですか」

 「社交界で一応聞いては見たんだけど、“プリンセスの口には合わない”ってそればかり!
 でも、食べ物がチップになるのか不思議だわ。気になる…高価なの?」


やっぱりポテトチップスとコーラはめずらしいのかしら…


でも路上で売っている食べ物よね。


それに人気の食べ物…
つまりライラの国民はお金持ちなのね…


 「そんな高価なら……シルト…」

 「?はい」

 「ロシアフィー家の…えっと。なんて名前かしら」


マロンは言ってた気がするけど…多分朝言われたから…


寝ぼけてて覚えてないなぁ。

 「は…はぁ。エドワルド・バナンタン・フォン・ロシアフィーでございますけど…」

 「そう!それよ!ポテトチップスが高価な物ならエドワルド様に迷惑を掛ける事になるわね」


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