1200円の帽子
私の名前は東小路真希。
このどうしようもない世界をどうにかするには、大多数を犠牲にする必要があることを理解している普通の女子高生。
しかし、同時にこうも考える。

――世界を変えるのは自分ではないか。現実的に、至極冷静に考えて。

私は辺りを見渡した。
部屋には小さなテーブルと、その上に丁寧にアイロンがけされた制服、そしてベッドしかない。
壁紙も真っ白の無地と、実に味気ない部屋である。
味気ないのは部屋だけでなない。
私はクラスでも浮いた存在である。大人な私の考え方に、幼稚な同級生がついてゆけないだけ。そう解釈しているが、実はそうではないことを理解している。
むしろ、ついてゆけていないのは私の方であろう。
だからこそ、自分で妙な膜を張ってしまった。
それ故に、下らない妄想に逃避してしまうのだ。
先程の世界が何たらも、同じようなものだ。

――前へ進めないのは自分。そんな自分はひょっとしたら不要な存在なのかしら。

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