部屋替屋
嘘をつく山田から手毬を受け取ってちよに返す時、住吉は小声で言った。
「早くしなきゃ。」
「あせるなと居鈴がいっていた。」
住吉は二度目の手毬攻撃を両手で阻止しながら、山田に話しかける。
「師範すみません、ちょっとここの文の意味がわからないんですが。」
師範という言葉に気を良くしながら、書類を読む山田は無防備で、ちよの手毬はよく入った。
がすっ!
「ひいっ!ちよさん、もっと穏やかに投げて。」
「きぜつしない。」
「…だよね。」