部屋替屋
住吉は肩を落としながら、山田を元道場があった部屋から引きずり出す。
「オレ体力無いから手伝って欲しいんー」
「はやく。」
「…はい。」
外からは立派に見える道場の屋根にいる烏が、一羽二羽と増えていく。屋内から聞えてくる歌に惹かれて集まって来るのだが、それでいて今すぐ飛び立ってしまう気配も見せている。
「確かに、不吉に見えるね。」
「うるさいだけ。」
烏の鳴き声につられて部屋の外に出てきた住吉は、いつものように無関心に言い捨てるちよに軽く笑いかけると、ちよのいる部屋に戻る。
「緊張するなあ。」
がすっ!