王子様は寮長様


寮に戻ると、門には一台の車が止まっていた。


何だろう…?

隣の相馬先輩を見上げると、不愉快そうな表情をしている。


もしかしてあれって……



「タイムリミットか…」



相馬先輩は低く呟く。

それと同時に車から人が出てきた。

近寄るとそれはスーツ姿の猛先輩。



「お迎えに上がりましたよ。王子様。」



猛先輩…、ちょっと怒ってる?

言い方に棘があるんですけど…。


しかし相馬先輩は猛先輩の横をすり抜け、門をくぐる。



「蒼斗っ!」

「九条を部屋に送るだけだ。すぐに戻るよ。」

「すぐだぞ。社長にばれる前に会社に戻るからな。」



猛先輩はため息混じりに言った。

相馬先輩は私を促しながら寮に入っていく。



「先輩、ここでいいですよ。早く戻らないと…」

「うん…。」



頷きながらも部屋の前まで送ってくれた。



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