王子様は寮長様


コンコン…。



「九条?どうした?」



ハッ。相馬先輩?
どうして…。

あっ、奈緒先輩が知らせたの?



「九条。何かあったのか?」



優しい先輩の声。

どうしよう…。出ないともっと心配するよね…。


私はブラウスでキスマークを隠し、心を落ち着ける。


ゆっくりとドアを開ける


「九条…。」

「相馬先輩。あっ、えっと、傘忘れちゃって…」

「とにかく、すぐに着替えして。風邪引くよ。」



先輩に促され、寝室で着替えをすませる。


その間に先輩は温かい飲み物を用意してくれた。



「ありがとうございます。」

「…うん…」



おいしい。
身体が温まる。



「…大丈夫か?」



先輩の静かな声。

顔を上げると真っすぐに私を見つめている。



「野上と何かあった?」

「…どうして?」

「泣いてたろ?」



バレてる…。

私はキスマークが見えないように、髪の毛を前に垂らした。



「何でもないですよ。」

「ウソつけ。じゃぁ何で俺と目を合わせない?」

「そんなこと…」



相馬先輩を見ると、先輩は立ち上がっていた。



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