王子様は寮長様
「それからは君達二人がよく知っている生活さ」
「…っ……」
私は涙が止まらなかった
初めて聞かされるお母さんの人生。
そんなことがあったなんて…。
あの優しい笑顔の裏にこんなことがあったなんて…何も知らなかった。
それに…私達に弟か妹がいたなんて…。
涙が止まらない私の背中を先輩の暖かい大きな手がさすってくれる。
「椎菜さん、私はね、息子のこと、世間体のことばかり気にしていた。早苗さんが亡くなったと聞いて、初めて自分の器の小ささに気が付いたんだよ。…すまなかったね」
会長は申し訳なさそうに私を見つめた。
私はフッと会長と初めて会った時のことを思い出した。
「初めて会った時、なぜあそこに居たんですか?」
「…早苗さんが亡くなってから、あそこら辺に行くのが習慣になってしまっててな。貴女の様子も気になっていたしのぅ。…その…私のせめてもの罪滅ぼしさ。」
苦笑いをする会長。
そうだったんだ…。
気にしていてくれたなんて。今思えば、あの時、会長は私を知っていて声をかけて来たんだね。
この人もいろいろ後悔していたのかもしれない。
私は自然とペコッと頭を下げていた。