王子様は寮長様
「ったく、あいつは。悪かったな、九条。」
「あ、いいえ…」
むしろ猛先輩の方が気の毒な気がするけど。
「落ち込んでいましたよ。猛先輩。」
「あれくらいが丁度いいんだよ。」
先輩は腕組みをして、軽く苦笑する。
「今、九条が部屋を出たらまたあいつが来そうだな。」
先輩は腕組みをしたまま、首をカクンとかしげた。
「もうちょっと居てくれる?」
うっ、可愛い…。
「い、いいですけど…。大事な話じゃなかったんですか?」
先輩はちょっと眉をひそめる。
「猛から大事な話を聞いたことがないな。」
フフンと笑ってリビングへ戻っていった。