王子様は寮長様
「うそっ!猛先輩にも会ったの!?」
「知り合い?莉子。」
莉子は肩までのボブ髪を思いっきり揺らしながら首を横に振った。
「んなわけないじゃん!てか、猛先輩のこと知らないの?」
「うっ、うん…。」
そんなに驚かなくても…
莉子は反応大きいなぁ。
「蒼斗先輩は王子だけど猛先輩もそのくらい人気があるんだよ。」
知らなかった…。
「確か、猛先輩はスポーツ優秀で皐月寮に入ったんだよね。」
「そうなんだ…。」
人懐っこい笑顔を思い出す。
有名だったのか…。
「椎菜、知らなすぎ。一年のころから皐月寮のことしか頭になかったもんね」
「だって~…。」
私はちょっとむくれた。
みんなが他の人のこと知りすぎなんだよ。