王子様は寮長様


「蒼斗の家の話、してたでしょ。」

「はい。」



よくご存知で。

…猛先輩、いつからいたんですか。



「この学院は金持ち学校だけど、蒼斗ん家はそこでも群を抜いてる。だからこそ、いろいろ複雑なこともあって。」

「はぁ…」



猛先輩、何を言おうとしてるんだろう?



「蒼斗のバックにSOOMAを見る奴らも少なくない」



そういうことか。


お金持ち同士の人間関係が子どもにも影響しているということ?



「たぶん、椎菜ちゃんの考えていることは正解だよ。」

「よく考えがわかりましたね」

「椎菜ちゃんは頭が良いって聞いたから~」



なんだ、その理由は。


だからさ、と猛先輩はニッコリ笑って続けた。



「椎菜ちゃんは蒼斗をただの蒼斗として見てやってな?」



猛先輩は笑いながらもちょっと切なげに見てきた


私はちょっと意地悪な質問をした。



「私がそういう奴らの一人じゃないって言いきれないじゃないですか。」

「言いきれるよ」



は?何を根拠に。



「君を副寮長にしたのが蒼斗本人だから。」



……なるほど。

確かにそうですね。


私は小さく苦笑した後、親友想いの先輩にわかりましたと言った。







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