王子様は寮長様


澄ました顔でそんなことを言っている。

まぁ、そのルックスだから別に腹は立ちませんよ



「九条は別だな。」

「?」



先輩はこちらを見つめたまま、優しくつぶやいた

その声にドキッとする。



「九条は俺が…」



と、言いかけたとき。

バタン!!と大きな音がして、部屋のドアが開いた



「蒼斗っ!」

「…なんだよ。猛。」



相馬先輩は明らかに不機嫌そうに声が低くなっている。


その様子に勢いよく入って来た猛先輩は一瞬たじろぐ。



「なんだ?恐いな。って、それどこじゃない!」

「だから何?」

「三年と二年が喧嘩してるんだっ。」

「そんなのお前がなんとかしろ。」

「俺大会控えてるから無理!」



サッカー部の猛先輩は分かってるだろうとでも言いたげだ。

下手に巻き込まれたら出場停止になるかもだもんね。



「喧嘩くらいほっとけ」

「それがさぁ、食堂で派手にやってるんだよ」

「そりゃぁ、見物だな。誰も止めないのか?」

「二年ってのが、最近出てきている政治家の息子だ。中林っつー。」

「あ~…、いたな。そんなの。」



相馬先輩は面倒くさそうに言う。

中林っていう二年の政治家の息子っていえば、聞いたことがある。
確か、コネで皐月寮に入ったって噂の人じゃなかったっけ?




< 43 / 217 >

この作品をシェア

pagetop