王子様は寮長様
澄ました顔でそんなことを言っている。
まぁ、そのルックスだから別に腹は立ちませんよ
「九条は別だな。」
「?」
先輩はこちらを見つめたまま、優しくつぶやいた
その声にドキッとする。
「九条は俺が…」
と、言いかけたとき。
バタン!!と大きな音がして、部屋のドアが開いた
「蒼斗っ!」
「…なんだよ。猛。」
相馬先輩は明らかに不機嫌そうに声が低くなっている。
その様子に勢いよく入って来た猛先輩は一瞬たじろぐ。
「なんだ?恐いな。って、それどこじゃない!」
「だから何?」
「三年と二年が喧嘩してるんだっ。」
「そんなのお前がなんとかしろ。」
「俺大会控えてるから無理!」
サッカー部の猛先輩は分かってるだろうとでも言いたげだ。
下手に巻き込まれたら出場停止になるかもだもんね。
「喧嘩くらいほっとけ」
「それがさぁ、食堂で派手にやってるんだよ」
「そりゃぁ、見物だな。誰も止めないのか?」
「二年ってのが、最近出てきている政治家の息子だ。中林っつー。」
「あ~…、いたな。そんなの。」
相馬先輩は面倒くさそうに言う。
中林っていう二年の政治家の息子っていえば、聞いたことがある。
確か、コネで皐月寮に入ったって噂の人じゃなかったっけ?