王子様は寮長様
聞き返しても先輩は黙ったまま。
外の雨音がしばらくよく聞こえていたくらい。
「相馬先輩?」
あまり黙られたままだと不安になってくる。
私は先輩に近づき、隣に座り直した。
「先輩?」
もう一度聞き返し、先輩を覗き込む。
目が合うと、一瞬軽く目を細め、それからフッと笑った。
「座り直してくれたね」
「へっ?」
先輩はさっきとは打って変わってニコニコといつもの笑顔を見せた。
さっきの沈黙はわざとですか…?
私は小さくため息をついてガクッと頭を垂れた。
気が抜けてしまう。
「ほら、俺淋しがり屋だから。」
「何言ってるんですか。だからいつも女の子をはべらかしてるとでも言うんですか?」
「あれは俺の意思じゃない。勝手にくっついてくるだけ。」