SUDACHI〜じいちゃんがくれた宝物〜
重たい腕に喝を入れ,

ひんやりとしたケータイに手を伸ばす。


高らかに鳴るコール音に

若干の苛立ちを感じながらも,


電話の向こう側の主が

出るまで辛抱強く待つ。








《…もしもし?》

「あ,俺だけど。」

《…あぁ,慎吾?》

「そぅ。」



《…どうしたの?》

「どうしたのって,

そっちからメールしてきたんだろ?!!

じいちゃんが死んだってホントなのかよ?!」



《えぇそうよ―。

昼頃には迎えに行くから,

それまでに用意しときなさい。

じゃあ,母さん忙しいから―プツッ》





もう切れた。




あいつはいつもそう。




自分勝手で

仕事ばっか。



家族のことなんて考えちゃしねえ。





自分が今

「家族」

なんて言葉を吐いたことに気付いて,

また苛立ちが募った。








家族…か――。



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