夜が明ける前に
オモイダスハギンイロ


***



薄く雲が拡がっている空は、気分を落ち込ませるには十分なものではないだろうか。


のそのそといつもの定位置にまで歩を進めて、ごろりとコンクリート張りの床に身を委ねた。





うっすら日光が滲んだ銀色の空に対面していると、思い出すのは銀の髪をした彼のこと。



「…死神でも、泣くんだな」



ぽつりと呟いた言葉は宙に浮いて溶けていく。





あの日、ギンジは泣いていた…というより、涙を流していた、と言う方がしっくりくるのかもしれない。



声を震わせず



綺麗なまでの無の表情で、ただただ頬を濡らしていた。



私はその涙が、ひたすらに美しいと思った。






「…会いにきてよ。傘持ってさー…」






ギンジに初めて会った時から一週間経った。




その間、一度も彼は現れていない。





…一度会っただけなのに、それが寂しいと思うのはおかしいのだろうか。







曇り空を見つめながら、銀の死神を思うのはおかしいのだろうか。









難しいことはよく解らないけれど



















私はたぶん、彼に恋をした。















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