*桜恋*
遅刻を完全に確認したななせは、


とぼとぼと重い足取りで学校へ歩いて向かっている。


なんか、昂汰に会いたくない…


そう思うと、どんどん足の速さは遅くなる。


――ああ、もう入学式、始まってるんだろうなぁ。


新学期、楽しみにしてたのに、な…


とうとう、ななせは学校の門の目の前まで来た。


普段のななせなら、閉まっている門でも、よじ登って跳び越えて行くのだけれど…


今のななせには、そんな気力は無かった。


「・・もー・・帰ろうか、なぁ?」



そう呟いた時だった。


「どうしたの?」
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