りんごを剥く手
「ん。」


「どうして
いつも起きたらいるの??」

あなたの袖をくいっと
引っ張って私は
聞いたことがあった。


あなたは
聞く度に
「魔法使いなんだよ、実は。
だから冬希が隠しても
冬希が起きるのが
わかっちゃうの。」


そう言ってごまかした。
魔法使いなんて
子供だましな言葉
大嫌いな私だったのに、
それこそ魔法。
あなたが言うから
つい笑ってしまってた。


聞く度って響きの通り
私は何回もこの質問を
した気がする。


最大の謎だったから。

今となっては
何てことないものだったと
わかってしまったけど。


本当に魔法使いだったら
良かったのに。
そしたら本当に
私をみていたと思うのに。




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