武士道絵巻

第二章

手を引かれてついた先は、町の外れだった。


そこには、一軒の家があった。


ガラガラ


中にはいると、とても狭いことが分かった。



「君、大丈夫だった?怪我、してない?」


暗闇で気づかなかったが、助けてくれたのは女の子だった。


「あ、助けてくれてありがとう。」

「いいよ、いいよ。困っている人がいたら助けるのが当たり前って父様もいってたし。」

ニッと笑った顔は、とても、優しかった。


「今日は、父様も母様も帰ってこないから、泊まっていきなよ。」


「でも……」

父上と母上が心配してるから。

といおうとしたが、道が分からない。

それに、正体がばれてはいけないと言われたので、案内も頼めなかった。


「どうしたの?具合わるい?」


「え、違うよ。大丈夫。」


「ならいいけどって!!」

女の子――れい――がりくの腕をつかんだ。


「怪我してるじゃん!」

え?と思いみれば、かすり傷ができていた。

「このくらいなんともないよ。」

りくがそう言ってもその子は、聞かず、手当箱をとりだした。


「小さな怪我でも、ほって置けば、大変なことになるんだよ。」

りくと同じくらいの年のれいは、なれない手つきで、包帯を巻いた。


「はい、完成。」

「……ありがと」

「君、親は?」

れいが心配そうな顔で言った。

「……城で待ち合わせしてたんだけど。」

りくはとっさに嘘をついた。

れいは、それを疑いもせず、案内すると言った。



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