私は嘘で出来ている。
「アキラさん、新菜は?」


「和室にいるわ」


賑やかな店から離れて和室に入った。


「ガァちゃん…」


新菜は迷子になった子供のように泣いていた。


「大丈夫、黙っててくれるって約束してくれた」


「ほんとう?」


「うん。でも店に時々遊びに来るみたい」


「えっ…」


「ごめん、新菜のこと黙ってて貰うからには断れなくて…」


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