私は嘘で出来ている。
「京也!」


「分かったよ、言わないって」


「絶対だからね」


「大丈夫だよ、真昼の頼みなんだから。その代わり、俺も店にちょくちょく顔出す。それが条件」


「…分かった」


「じゃあ、今日は帰るから」


言い残して京也は歩き出した。


大きな背中は壁のように見えた。




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