私は嘘で出来ている。
唐突な質問だった。


「何が?」


「その…オカマで」


私の目を見ることなく、口紅を一本手に取った。


「いや、オカマに囲まれて育ったからねぇ。そりゃ新菜ちゃんがそうだったのには吃驚したけど、それだけだった。同じ人間だもん。世間が見世物みたいに騒ぎすぎてるだけなんだよ。まぁそれを商売にしてるのがうちの店だけど」


「そっか」


新菜ちゃんが大きく息を吐いた。


「本当に軽蔑されてないか、不安だったの」


「するわけないよ。変な心配しないで。その色、気に入ったの?使うなら買ってあげるよ」


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