恋時雨
「隆教殿の妹君なのですね。とても上手い舞でした。よかったらまた、見せてください」

安時は、ニコッと笑って初香に言った。
初香は、満面に笑みを浮かべた。

「…はい、ありがとうございます!また見て頂けると嬉しいです。えーっと…」

初香は、そこで止まった。
安時の名を知らなかったからだ。

「安時です」

安時は、穏やかな口調で答えた。

「あ、すみません。安時様…」

そう言って、また初香は笑った。

(なんて美しい笑顔…)

安時は、初香に見とれていた。
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