Star Dust ~星のカケラ~

parfum de la facilite~安心の香~

休んで。


そう言われても、混乱して、興奮して、眠気が襲ってこない。

疲労感だけが身体を支配している。貸してもらったナイトドレスにショールを羽織り、廊下へと出た。

少し冷たい空気が、改めて夢でないことを知らしめている。


「どうしよう。迷っちゃった」


何も考えずに部屋を出てしまった。

離宮とはいえかなり広い。寒さも増してきた。


突然強く風が吹き付けて、蝋燭の火を消す。


「怖い」


暗いところなんか大嫌い。

足がすくんでその場でしゃがみ込んでしまった。


鈍い、歩幅の広い足音が聞こえてくる。


だ、誰?

鋭い金属音が聞こえた。


「誰だ?」


長い影が覆いかぶさった。


「…ユズ?」


「カ、カーソン隊長?」


声が震える。怖い、怖いよ。


暗闇に良い思い出はない。


しゃがみこんだレイに思わず縋りついた。


「ユズ!」


「く、暗いの駄目なんです」


耳元で何かをささやく声がする。


何?そう思った瞬間、消えたはずの蝋燭に再び火がつき、明るさを取り戻した。




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