溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
濠と距離をおいて、罪悪感から私の人生を引き受けようとしている悲しい濠の未来を清算しようとしていたけれど、やっぱり離れられないと気づいただけ。

足掻いている私を知った後でも、私の人生を明るいものにしようと、振り返ると暗い想いになるものを順番に片付けてくれているような…そんな濠のひそやかな気持ちを思うと。

更に濠に縛られてしまった気がする。

私がずっと不安に思っていた事は、小さなものはいくつかあるけれど。

濠が私に対して罪悪感を持っているのなら、結婚しちゃいけないって事。
初めて会った頃に、濠の目の前で倒れて即手術になってしまったのは濠のせいじゃないのに。

手術の後に私が転院したせいで、倒れてから再会するまでの5年間自分を責めていた濠を思うと切なくなる。

全然違うのに。

私が手術を受けるのは決まっていた事だし覚悟していたのに。

逆に、濠の存在があって…恋する気持ちを知って。

『生きたい』

ってそれまで以上に思えるようになったから、手術を乗り越える事ができたのに。

見当違いな濠の罪悪感は、私にとっては悲しいだけの愛情にしか思えない。

そう思いながら、いつか濠が罪悪感から離れて私をただ愛するような日がくればいいなと願いながら側にいたけれど。

濠が私への罪悪感を完全に捨てたと思える日は結局こなくて。
いつも愛してくれて…抱いてくれて…濠しか知らない体にも変えて…。

優しくて大切にもしてくれるけれど、紙一重の部分にある私への罪悪感が抜けてしまう事はなかった。

だから…濠を解放して、楽にしてあげなきゃ…って思って。

体中が悲鳴を上げるくらいに悩んで揺れて、自分の全ての細胞が痛かったけれど、それでも。

濠から離れなきゃと、そう思って決意した。

だから、異動も引っ越しも大賞受賞も言わずにいた…。
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