溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
私にしては、なかなか頑張ったこの半年間だった。

父が亡くなった後に知った事実が私の人生観を変えてしまって…。

父が自分の意に反して
コンクールに参加したのはただ私の手術が成功して、明るく輝く未来を得る事ができるように。
願掛けの意味で、それまで苦手にしていたコンクールに参加。

参加するだけでもかなり悩んだと思うけれど、大賞をとってしまって、その後の生活も激変した。

自分のペースで作品を制作して、お客様の喜ぶ様子に触れるだけで幸せを感じていたらしい父が、大賞受賞後はマスコミからの注目も浴びて…。

好きに仕事をすすめる事ができなくなって、業界全体に貢献する仕事も増えた…。

そうなるのが嫌でコンクールには見向きもしなかったのに、私の手術がうまくいくように、参加を決めた…と。

父が亡くなって、初めてお線香をあげさせてもらった時に弥恵さんから聞いた。

『透子が助かるなら平気だ』

とコンクールに参加を決めた時には言って。

『手術が成功したなら、他はどうでもいいんだ』

と、大賞をとったあとには言っていたらしい。

人の前に出る事を避けていた父が、マスコミの取材やらに追われて、仕事に集中できなくなってもそう言って淡々とこなして…私が生きている事を感謝してたと。

聞かされた時に感じた後悔は例えようもないほど大きなもの。

母さんが何も語らない事や有二ぱぱの存在を潜在的な言い訳にして父への関心を持とうとしなかったそれまでの人生を悔やんだ。

ちょうど濠が出張でいない寂しさと、父の想いに気づかなかった自分を責める気持ちで狂いそうになった。

仕事をこなして普通に生活はしていても、心は病んでいた…。

どうして父を私の人生から締め出してたんだろうと悲しい後悔ばかり。
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