溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「え…。透子…?」

目にした名前が信じられなくて、名簿をまじまじと見つめたまま固まっていると。

「透子ちゃんと知り合いか?」

怪訝そうな相模さんの声にも曖昧に視線を上げただけで、うまく言葉が出ない…。

透子…?

お前…大賞とったのか?

「織田透子…」

「…うちの設計士だ。

なかなか大賞とろうっていう欲を持たずにいたのに、何故か年明けから必死に製作してたけど。

真田くんの…知り合い…」

ぼんやり入ってくる相模さんの言葉に軽く相槌をうちながらも、俺の鼓動は大きくなるばかりで、
一体どういう事なのか、
…単純に透子の受賞を喜んでいいのかわからない。

何より気になるのは。

『社内はお祝いムード』

という相模さんの言葉。

社内の雰囲気がそうなら、透子本人が受賞の事を知らない訳はない。
まず一番に知らされているはず。

なのに…。

どうして俺に何も言わない?
夕べだって何度も愛し合って…俺にこの事を言うタイミングなんて何度もあったはずだろ。

「…一応、まだ発表前だからな」

はっと顔を上げると、複雑そうに笑う相模さん。

「…あ、すみません。
えっと…。この受賞者の方々の資料と写真を入れたマスコミ用の冊子、用意すればいいですね。
あと、当日の準備と…」

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