溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「…彩香ちゃんと…お見合いしたかったの…?」

恐る恐る小さな声を出して…聞いてみるけれど、やっぱり視線を合わせられなくて俯いてしまう。

強引にお見合いの話をもってこられたのはわかる。
名前の知られたホテルで働いていて見た目も人並み以上に整っていて。

結婚して子供を授かっていたとしてもおかしくない年齢。

そんな濠を自分の娘と結婚させたいって森下先生が考えたとしても全然不思議じゃない。
人と接する毎日を仕事としているんだから、森下先生以外にも、濠を気に入ってる人はいたはず。

…わかってる。
濠の意思に関わらず、お見合いの話が持ち込まれる事の可能性を拒むなんてできない。

私との関係を隠してはいなかったけれど、結婚していたわけじゃなかったから、仕方ない事だったと思う。
森下先生が長い間濠の聴力に気遣っていたっていう事が、濠自身への愛着へと発展しても不思議じゃないし。

…そう、お見合いの話が舞い込んだっていう事実は容易に受け入れられる。

でも。

私が雪美さんの言葉をひっそりと聞いてしまった時…

『お見合いを受けた』

って…濠がお見合いをする事を了解したと…。

そう理解した。
お見合いを濠が受け入れたという事実が私にとっての大きな衝撃で、聞いた瞬間は信じられないくらいに体全部が悲しくて痛かった。

どうして…受けたんだろう。
私の存在があるのにどうして。

私への罪悪感から生まれる愛情に疲れて…単純な愛情へと気持ちを向けてしまったのかな…。
彩香ちゃんには私にない魅力があって…それが濠をひきつけたのかもしれない…。

ぐるぐるとマイナスのみに展開する想いに耽っていると、どんどん細かい亀裂が心に広がっていくのを感じる。
指先も震えて鼓動も速くなる。

「彩香ちゃんとの見合いを森下先生から聞かされた時は、確かに嬉しくて…ホッとした」

隣に座った濠は、思い返すように…そして私の顔をしっかりと見つめながら話し始めた…。

その言葉にどれほどのショックを私が受けているのか、わかってる…?
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