溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
宴会場を出て、連れて来られたのはホテルの事務所。
表の華やかな雰囲気とは違って、机やパソコンが並ぶ整然とした部屋。
私の会社とあまり変わらない様子が妙に新鮮に思える。
30人くらいの従業員の人達が事務仕事をこなしていて、濠が入っていくと立ち上がって挨拶している。
今までにも感じた事があるけれど、もしかしたら濠はかなり高いポジションで仕事をしているのかもしれない…。
私の手を引いて、事務所の奥に行く濠の背中を見ながらも、そんな私達に向けられる興味津々な視線を感じて戸惑っていた。
「さ、入って」
開けられた扉には、
【真田】
とプレートが掲げてあって、この部屋は濠個人の部屋だとわかる…。
黒でまとめられた室内には机や本棚、ソファーが置かれていて、机に山積みになった書類の多さにびっくりする。
忙しいんだな…。
ぼんやりと立つ私に、
「座って」
そう言いながら、濠は机の中から何かを取り出した。
A4の茶封筒を手にした後、微かに笑って…その封筒を差し出してきた。
一体何なのかわからないままに見上げた私にそれを押し付けると。
今度は確実に笑いながら。
「雪美が話してるのを聞いたんだろ?
見合いの話。
相手は彩香ちゃん。
実物の方が綺麗だけど…見てみるか?」
「は…?」
ほら、見ろよ…とでも言うように顎で私の手元を指す濠は、私の隣に座ると大きく息を吐いた。
「…悪かった。ちゃんと説明しなくて。
まさか見合いの事知ってるとは思わなかったからな。
…ま、森下先生に写真渡されて話進められて。
一番慌ててたのは昴だったけど…」
くくっと思いだし笑いをする濠の言葉がやけに明るくて軽くて。
何となく自然に私の手も動いた。
茶封筒の中から出てきたのは、予想通りの…お見合い写真。
写真館で撮ったらしい彩香ちゃんのスーツ姿の写真。
「…かわいい」
淡いピンクのスーツを着てぎこちなく笑う表情は、会社で見るより緊張しているけれど、やっぱりかわいい。
「家族写真を撮るって騙されて写真館に連れて行かれて撮ったらしいぞ。森下先生も強引だからな」
…だから笑顔にもひきつた雰囲気があるのか…。