溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
朝食の後、濠はスーツケースを転がして空港へ向かう。
出張へ行く時には大抵私の部屋から。
私が寂しがらないように気をつかってくれてる。
「気をつけてね…」
いつもと同じようにしていようと意識し過ぎて声が裏返ったような気がして俯いてしまう。
ただでさえ海外に行く濠を見送るのは寂しくて泣きそうになるのに。
今回は雪美さんも一緒だって知って、寂しいだけじゃ片付けられない切なさと不安。
雪美さん…。
3月にアマザンホテルで催された「創立記念パーティー」で初めて見た綺麗な人。
優しく笑う穏やかな表情で
『真田くんの事がずっと好きなの。
でも恋人がいるから諦めてたけど…
真田くんがお見合いするって聞いたから、もしかしたら恋人と別れたのかなって。
私を選んでくれないかなって思ったんだけど…』
化粧室に行く途中。
フロアの柱の陰で雪美さんは一生懸命に濠に告白していた。
化粧室の入口に体を隠して、小さく聞こえてきた言葉に動揺して動けなくなった。
どう見ても、人並み以上の容姿と身体を持つ濠に恋する女の子が少なからずいるのはわかっていて諦めていた。
不安になる事は止められなくて、付き合い始めた頃には泣く夜も多かった。
そんな不安を持つ私を見透かしてしまう濠は、その都度私の心をほぐして愛情いっぱいに包んでくれた。
私が抱く不安の量を遥かに凌ぐ愛情を与えてくれるおかげで乗り越えてきた。
長い恋人としての付き合いの時間が、私の不安の絶対値を小さくしてくれてた。
『不安に感じる時間と感情が無駄だから』
そんな言葉をサラリと言う濠に依存しきっていたこの10年。