溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
優しい声で聞いてくる昴にどう答えていいのか…。
濠と付き合っている事を知られると、アマザンでのイベントがある時にお互い気を使うから…。
あまり公にしたくないけれど…。

でも、彩香ちゃんが濠と私の関係を知ってるんだから婚約者の昴だって知ってるのは当然。

「…内緒にしてね…?」

小さくそう呟きながら、昴を見上げるだけで精一杯。

「…透子さん…。
その上目遣い、やめた方がいいですよ。
彩香がいなきゃ俺も堕ちてます。
本社の男の大半は透子さんに近づくチャンス狙ってますからね」

「チャンス…?」

「はぁ…。営業設計にいた時から、透子さんは
地味に有名なんですよ。…かわいいし優しいし。社外に恋人がいるってのもポイントで」

「…え?そんなの…初めて聞いたけど…」

昴の言葉が信じられなくて見返しても、呆れ顔の昴は再びため息をつくだけ。

「ま…。鈍い透子さんに真田さんが新しく指輪を贈って牽制するのも納得です。…俺も透子さんに妙な虫が寄りつかないようにガードします」

「…はぁ…」

勢いよく言い切る昴に何も言い返せないままに頷くしかできない。
よく理解できないし…。

地味に有名ってどういう事?
ひっそりと、ただただ仕事をするだけの会社生活の中で、思い当たる事なんてないのに。

…とりあえずその日は、荷物の整理と本社内の各部署への挨拶に追われて一日は終わった。
< 92 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop