*銀狼-ギンロウ-*

はじめから。

「よし!じゃあ今から散歩にレッツゴー!」

あれから毎日見舞いに来る女。
“サヤカ”という名前らしい。

俺にとってコイツは、“うざい女”だ。
ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ今日は何があったとか学校での話とか俺には関係ない話ばっかりで聞いてるこっちが疲れる。

「…面倒くさい」

「そんなこと言ってないで。ほら、さっさと行くよっ」

俺は手を引っ張られて無理矢理外に連れ出された。



「お前さぁ、“俺”の何なの?」

「何って?」

「もしかして恋人だったりしてた?」

サヤカは一瞬寂しそうな顔をした後、笑って言った。


「違うよ。全然。ただのアタシの片思い」


< 133 / 223 >

この作品をシェア

pagetop