童話少年-NOT YET KNOWN-
「…………なぁ……」
不意に、紗散の震えた声が、空気を震わせた。
反応して彼女を見れば、色白の肌は陶器のように青褪めている。
「……紗散……? どうしたんだよ」
「俺、すげぇヤバいこと思いついちゃった……」
「…………なに?」
「鬼道が、さ……もううちらのこと気付いてるってことは…………有り得なく、ないよな……?」
血色の良くない唇を僅かしか開かない様子は、彼女にしては明らかに異様だ。
「ちょっと待てそれどういう意味、」
「だからさ……、ヤヨイちゃん……」
最後まで聞かなくても、紗散の言わんとすることを理解した彼らは、絶望を感じた。
もし、その推理が、彼女の突飛で馬鹿馬鹿しい推測でなかったとしたら。
「ヤヨイちゃん…………鬼道に誘拐されたんだったとしたら……!?」