童話少年-NOT YET KNOWN-
「な……に、やってんだ……」
「あ、涓斗……大丈夫か!?」
「どこ行ったんだよ、鬼……あーくそ」
意識を取り戻した涓斗は地面に座り込み、パーカーとシャツを捲る。
いてー、とごちるが、普通ならば痛いどころじゃ済まされないはずの傷だ。
しかし涓斗はTシャツを脱ぎ、無造作に傷口を塞いで巻いただけで、すぐにまたパーカーを羽織って、立ち上がったのだ。
「え……ちょ、涓斗!? なにして」
「なにって、決まってんだろ。追いかけんだよ」
「え、だって、そんな怪我で」
「関係ねぇよ、ヤヨイはどーなんだよ、…………今しかねぇだろ……?」
下を向いた彼が、悔しそうに俯いているのかと、一瞬思った。
しかしすぐにそれは違うと気付く。
彼が凝視する一点──────それは、
「…………血…………」