Parting tears ~another story~
第十三話 星に願いを
 美久の電話から、俺は結麻を見張るようなことをしている。夜になると、結麻の部屋を外からじっと見つめていた。

 前と少し違うのは、結麻を近くに感じたいと思う気持ちより、本当に家にいるのかどうか確かめたい気持ちの方が強くなっていたような気がする。そんな時は、結麻からの電話には出れない。俺がこんなことをしていることを知られてはいけない。自分の中で、嫌われるのではないかという危機感が溢れていたのだ。

 家に帰ってから結麻に電話をかけ直すと、俺を疑うような言葉を云うので、つい俺も結麻を疑うような言葉を云ってしまった。

 俺達はどうしてこうなってしまったんだろう。こんなにも愛しているのに、愛情が伝わらない気がして苦しい。『本当は結麻が眠りにつくまで外で見守っていたんだよ。ずっとそうしてきたんだよ』もしそう云ったら結麻はどう思うのだろうか。俺の浮気の疑いは晴れたとしても、嫌われるかもしれない。

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