Parting tears ~another story~
 何ヶ月か経った頃、抜け殻のような生活を送る俺を心配した隼人と今西が飲みに誘ってくれたのだけれど、まさか、その時真実を知らされるなんて思いもしなかった。


「和哉、美久が結婚したんだ。出来ちゃった結婚だって」


 そんな話しに俺は何の興味もなかったけれど、隼人の次の言葉で俺は愕然することになる。


「それで、美久からこの前聞いた話しだけれど、お前、結麻が先輩と浮気したと疑って、結局別れただろ。でもな、あれは美久が計画しことだったらしい」


「ど、どういうことだよ!」


 俺は立ち上がると、隼人に掴みかかった。


「和哉、落ち着けよ。俺もさっき隼人から聞いたんだ。最後まで話し聞いてやれよ」


 今西の言葉に俺は頷くと、隼人を見据えた。


「今説明するから。あのな、美久はお前のことがずっと好きで忘れられなかったんだよ。俺も結麻のことがずっと好きだったから、お前が結麻と付き合ってても諦められなかった。だから、美久の気持ちは解らないでもないんだ。でも美久は実際に二人の仲を引き裂いた……。結麻のことを好きな先輩の存在を知った美久は、その先輩を使って結麻に近づけさせ、お前には嘘を云った。そして、結麻には一枚の写真を見せたらしい。その写真は和哉と美久のツーショット。だからお前ら二人がお互いを信じられなくなったのも、全ては美久の計画だったんだ。本当は……結麻はお前を裏切ってなんかいなかったんだよ。もちろんお前も結麻を裏切ってない。美久が結婚する前に、俺に泣きながら云ったんだ」


 そんな――じゃあ俺は、結麻をどれだけ傷つけたんだろう。何も知らず、結麻を信じられずに俺は――。

 隼人と今西の前で俺はボロボロと涙が溢れた。
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