Parting tears ~another story~
第二話 噂の美少女
 俺は河川敷で見た、名前すら知らない美少女が忘れられなかった。分かっているのは隣の中学校の生徒だろうということだけ。隣の中学校には、小学校の時の友達である美久がいる。あいつなら、あの美少女を知っているかもしれない。そうは思っても、俺は美久に訊く勇気すらなかった。

 一目惚れをして数ヵ月後、、親友の今西が目を輝かせながら気になることを云った。


「なぁ、お前知ってる? 隣の中学校に、すげ~美少女がいるらしいぜ。それがさ、美久の親友らしいんだ」


「ふ~ん」と云いながら、俺の心臓は鼓動が速まり、それを隠すように平静を装う。そしてわざとそっけなく今西を見た。


「おいおい、和哉は女に興味ね~の? 美久がお前のこと好きらしいぜ。隼人に聞いたから間違いないよ。結構お前のことカッコイイって云って騒いでる女子もいるし、モテるよなぁ」


 美久が俺に好意があることは前から知っている。けれども、俺は美久を友達以上には思えないから、知らない振りを続けてきた。でもまさかあの美少女が美久の親友だったなんて……。

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