王子様とお姫様の秘密の決断
車の横を通り過ぎ、あてもなく歩く足取りは、ただでさえ遅い足が、さらに寒さで遅くなっていた。

「君傘もささずに、何処行くんだ!」

明らかに、家に帰る足取りではない。

すれ違った車のウィンドウが下げられ、声を掛けられた。

振り返った私は、何を言うつもりだったのか、車から降りて来た男の人に倒れ込んでしまった後の記憶はないのだから…
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