幸福論
「ふーん、補習。」

「そう、補習。」

「その子、バカなの?」

「いや、多分勉強してないだけ。」

「へぇー。」

綾が、自分のグラスのワインを飲み干す。

金曜日の夜。心休まるひと時。
美人な彼女とのデート。
今日は洒落こんで、ちょっと高めなホテルだったりする。
まあ、いい。公務員なんだから、食いっぱぐれることは、ないだろう。

「あぁ、その子さ、漢字がお前と同じなんだよ。」

「アヤちゃんっていうんだ?」

「いや、リンっていうらしい。」

「え?この漢字で?」

「そうそう。そんな風にも読めるだな。」
< 18 / 34 >

この作品をシェア

pagetop