蜜林檎 *Ⅱ*
ここまで二人が歩いて来た
道のりは、そう簡単なものでは
無かったはず。

一度は許されない愛に、終止符
を打ち、別れを選んだ二人が
もう一度結ばれ、そしてやっと
許しを得て、今に至る。

「長い時間をかけて、やっと
 掴んだ幸せ、ここまで来て
 いったい誰が手放すの?
   
 だから、アンはそんな物に
 惑わされなくていいの」

「ルリ、ありがとう
 私、イツキを信じてる」

瑠璃子の言葉に、杏の
胸の痞えは消えていく。

「そうだ、今度のライブ
 アンのお姉ちゃん
 見に来るんだよね?」

東京公演の二日目は、ちょうど
雅也が組合員の人達と旅行に
出掛けるのでお店を休業する為
に、百合は時間ができ

気晴らしに子どもを真に預けて
モーメントのライブを
見に行く事にした。
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