蜜林檎 *Ⅱ*
カメラマンの方を見つめて
手を振り微笑む、まりあ。

「彼とは仕事仲間で
 酒飲み仲間なの」
  
「そうなんだ・・・
 マリア、元気だったか?」

「う~ん、どうだろう?
 体は元気だけど、心の方は
 ・・・
 最近、男に振られて
 相当、痛んでるわよ
 ・・・・・・
 またかって言わないのね
 イッキ?」

「言わないよ・・・
 それより、大丈夫なのか?」
  
自分だけに向けられた、樹の
優しい仕草、言葉に、まりあ
の痛んだ心は落ち着いていく。

「ありがとう・・・
 いつもの事だもの
 私は大丈夫よ
  
 それより、イッキ
 あなたはどうなの
 ・・・大丈夫?」

まりあの鋭い言葉に
 
樹は、ただ

苦笑するしかなかった。
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