明日、高篠先生と一緒に笑って恋が始まる。

少しの沈黙の後、

「じゃ、俺、帰ります。
ありがとうございました」


そう言って一礼をする。

「ああ、じゃあ」

俺は彼に背を向けて歩き始める。


再び
「ありがとうございました」
と言う彼の声が背中に聞こえる。


礼儀正しい彼はきっと俺が見てなくても頭を下げているのだろう。

俺は振り向くことはせず出席簿を肩まであげて合図をする。

なぜか振り向けない、そう思ったから。


< 363 / 502 >

この作品をシェア

pagetop