明日、高篠先生と一緒に笑って恋が始まる。
少しの沈黙の後、
「じゃ、俺、帰ります。
ありがとうございました」
そう言って一礼をする。
「ああ、じゃあ」
俺は彼に背を向けて歩き始める。
再び
「ありがとうございました」
と言う彼の声が背中に聞こえる。
礼儀正しい彼はきっと俺が見てなくても頭を下げているのだろう。
俺は振り向くことはせず出席簿を肩まであげて合図をする。
なぜか振り向けない、そう思ったから。