修羅と荊の道を行け
手を離して帰ろうとすると、咲耶が引き留める様に強く握って来た。

「咲耶?」

「よってって…今日、誰もいないから、お茶かコーヒーいかがですか?」

上目遣いで誘われた。

惚れた女の上目遣いってこんなに可愛いものだろうか?

咲耶が年上ということを忘れてしまいそうになる。

「じゃあお言葉に甘えて」

誘いを断るなんて出来なかった。


家の中は静かだった。

廊下を歩く音だけが聞こえた。

「今日、妹たち友達の家に行くとか言ってたから緊張とかしなくて良いから」

「おう」

そう言われても緊張する。

「あら、咲耶お嬢さんお帰りなさいませ」

「「っ!」」

突然、後ろから声をかけられて、オレたちの肩は震えた。

「ただいま…、あれ?ハルさんなんで?」

振り向くと小柄で着物を来たお婆さんがニコニコとこちらを見ていた。
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