修羅と荊の道を行け
「良いんだよ。賑やかなのは悪いことじゃない。それにあの子が家に人を連れて来ることは珍しくてね。あの子に沢山の友人がいて私も家内も安心したんだ」

お父さん(そう呼んで良いものか分からないが、そう呼ぶしかない)は咲耶の話しよりもずっと穏やかな人の様に思えた。

「初めての子ということで、厳しく育て過ぎてしまってね。私たちに変な遠慮をするようになって、更に私の言葉が足りないせいで、咲耶を随分とここに近寄り難い場所にしてしまった。あの子がここにいてくれるということだけでも嬉しいことだ」

洗い物は後で咲耶がやるだろうと、別の部屋に招かれた。犬もついて来て、ちゃっかりとお父さんの膝の上を陣取っている。

尋問でも始まるのかとおもいきや、アルバムを広げ、始まったのは

「咲耶のお宮参りの時の写真だよ」

娘の自慢話だった。赤い着物に包まれている咲耶は凛々しい顔立ちをしている赤子だ。
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