修羅と荊の道を行け
「なんか男前ですね…」

「そうなんだ。この顔にすっかり男だと思い込んで、名前を大和とつけようとして、妹に怒られてしまった」

咲耶でも充分男らしいと思う。コノハナサクヤヒメなんて神話を知っている人間じゃないと分からないだろう。

「私が厳しい分、祖父母に甘やかされて育ってしまって、泣き虫で小さい頃は近所のお友達に泣かさればかりていたんだ」

2・3才の頃の咲耶は泣いている写真が目立つ。

「精神面を鍛えようと武道を知る限り習わせたが思わぬ方向に向かってしまった。まさか、友達の額を拳で割ったり、縄跳びで木に縛り上げたり、クラスを拳で牛耳るとは思わなかった」

小学校の写真は、がき大将の様なものが目立っていた。両親は何度か学校に行って謝り、謝り返されたりしたらしい。明乃さんから聞いた以上の珍プレーの数々に驚くしかなかった。

「男性恐怖症もこの頃から始まっていたんだろうね。私もすっかり嫌われてしまった」
< 205 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop