修羅と荊の道を行け
描いたページを見終えた浪川くんが、スケッチブックを私によこして、

「絵とか運転ってのは人間がでるよな」

「ん?」

浪川くんがぐっと私を引き寄せて、膝の上に乗せられた。

「咲耶の運転って、すぐに寝ちまうし、起きないくらい静かだった。安心してたんだろうな」

膝の上に乗ってるから、目線が同じになる。

「この絵だって、みんな優しい顔をしているし、風景もこっちを穏やかな気分にさせてくれる。全部、お前がオレをそんな気持ちにさせてくれるんだ」


そういう浪川くんの顔も優しい顔をしていると伝えると、咲耶といるからだと言われた。

顔が近づいて来て、キスをした。

目をつむってるせいで、視覚以外の感覚が鋭敏になる。何か、浪川くん、私の足触ってる?
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