修羅と荊の道を行け
向かい合って食事をとることは初めてじゃないが、こういう所で食べると少し緊張した。

「美味し」

咲耶は美味そうに飯を食う女だ。舌が肥えているいうか、本当に美味い物を知っている。

箸の使い方も上手い。改めて、しっかりと教育されているのだと思った。

「あ、美世花と真央花と箸の持ち方一緒」

咲耶がオレの手元を見て笑った。

箸、あぁ、そういえば、オレの箸の持ち方は少しおかしくて、よく祖母ちゃんに注意されたが直せなかった。

「あの二人もよくおじいちゃんに注意されてたけど、結局直らなくてね。きっと箸を持たせるのが早過ぎたんじゃないかって」

「そうなのか?」

「そうみたいだよ。歯科に勤めてる友達が教えてくれた」

そういえばそうかもしれないな。あのごっちゃごちゃの家では、ちびだろうと、与えられたもので、飯を食わないと、成長できなかった。気を抜けばアニキ達に飯を奪われてしまってた。
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