修羅と荊の道を行け
「そうですね」

何もしなくても咲耶は綺麗だが、更に綺麗で可愛くなるなら、願ったり叶ったりだ。

仲居が出て行ってからすぐに、咲耶が戻って来た。

予想外の姿で、薄いピンク色の浴衣がよく似合う。髪についた桜の髪飾りが茶色い髪に映えている。

「浴衣どうした?」

咲耶は持っていなかったはずだ。

「あ、お風呂でね…」

咲耶はもじもじとオレの側に座って、風呂で上司に会ったことを話してくれた。その浴衣は上司が選んで持ってきてくれて、髪飾りはくれたそうだ。

「そうか、良かったな」

「うん」

そっと髪飾りに触れてはにかむ顔は可愛いとしか良いようがない。

「さぁ、食うか」

「うん。美味しそう」
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