修羅と荊の道を行け
「全く、うちの男共は、美人に弱いんだから」

「いやいや!美人になら誰にでも弱いみたいな言い方止めろよ!」

「千尋、お前そんなキャラだったか?女が出来るとお前変わるタイプか?」

「知らねぇよ!」

「千尋も蓮聖ぐらいの時に木原の露ちゃんにベッタリだったよな」

「んな、頃のこと覚えてねぇよ」


木原の露ちゃんとは従姉妹さんだとお母さんが教えてくれた。

十弥さんと同い年で、美人で気立ての良いお姉さんで、4才頃の浪川くんが懐いて、離れなかったそうだ。

4才の浪川くんか。可愛かっただろうな。

不意にお尻が温かくなって、後ろを見ると、ワンコのおしりとしっぽがわたしのお尻にくっついていた。

「あら、マツリが初対面の人に懐くなんて珍しい」

「ホントだ。咲耶ちゃんは子供や動物に好かれる才があるんだろうな」

と十弥さんが笑った。

「マツリ、おまえもか」

浪川くんが怖い顔で、マツリちゃんを見ていた。
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