長身デブ

「おはよ〜。お腹すいたぁ〜。」

目を擦りながら、キッチンにいるお母さんに挨拶をすると…。

「うわッ！ブタが来たッ！！」
「おぃ！ヤメロって柊、こんな奴と一緒にされたらブタが可哀想だろ？」

リビングで朝食を食べながらゲラゲラと腹を抱えて笑っているのは。

楓と柊だ。

２人は私の双子の兄で、一つ上の男子校生。

２人とも180センチ以上の長身と整った顔を活かし、絶えず女を取っ替え引っ替えしている質の悪い兄達だ。

『今日の毒舌っぷりも見事なもんだ…。』

心の中で呟きながらお母さんが用意してくれた朝食

食パン３枚
目玉焼き２個
ソーセージ５本
ココア

を黙々と食べ始める。

「なぁ、椿？お前痩せようと思わねーの？」

「何バカなこと言ってんだよ楓！。食べることしか能がないデブから食い物奪ったら何残んだよ？」

『！？。ちょっと柊言い過ぎだろ！？いくら何でも言い過ぎだろ！！。まぁ事実だけど…。』

「でもよぉ〜。この体型は酷いだろ…。」

「まぁ〜なぁ…。例えばさ。デブはデブでも身長が低いデブならまだ可愛いだろ？でもさぁ、コイツデカいじゃん？だから余計に酷く見えんだよなぁ〜。」

「これで痩せてたらな…。」

「(怒)ごちそうさまッ！！」

私の家の食卓はいつもこんな感じだ。

自分でもよく分かっている。

デカくてデブがどんなに醜いか…。

中学生の時はそこそこ痩せていて

「モデルさんみたいねv」

なぁ〜んてちやほやされていた。

でも高校は女子校。

慣れてしまえばきれいでいようなんて

思わなくなっていった…。

それどころか授業が終わるたんびに

何か食べるという習慣がついてしまい

入学してからの６カ月あまりで体重は

１０キロ近く増えてしまっていた…。




朝からネガティブに浸っていると

バスの時間に遅れそうになっていた。

「ヤバい！！これに乗り遅れたら歩きかチャリじゃん！！。」

私はダッシュで家を飛び出した。